インハウスデザイナー時代
松下電工入社 1988年:家電メーカーの照明器具デザイナー
工業製品の製品設計 生産工程等
高校からデザインを専攻し、先輩のすすめで松下電工に入社。商品の設計デザイン部門を担当するも、さらなるものづくりの現場をこの目で見たくなり、上司に懇願して取引先である照明器具会社へ飛び込む。
そこでは即、自ら商品デザインを手がけるところから任せてもらい、デザインの起点となるアイデアの発想はもちろん、製造機械が動く制作現場も目の当たりにするなど、ものづくりに関するあらゆる環境がそろっていました。商品の素材選びから始まり、技術面での可能性の模索、職人との交渉に至るまで、関わる全てが教材の宝庫といえる、自分にとってわくわくするような現場でした。
その照明器具会社の創業オーナーの社長は男気で、私をイタリア、ドイツの視察にも一声で行かせてもらいました。それは今でも本当に感謝しています。
様々な素材での商品デザインを扱う中、自在に変化できるプラスチックにデザインの大きな可能性を感じ、ただただ「プラスチックを極める!」と信じる思いが先走ってしまい、わがままを言って独立させてもらうこととなりました。
デザイン事務所の立ち上げた時代
デザインスタジオ KIARO設立
プラスチック素材のデザインとしての可能性を信じた独立。
営業経験もなく、右も左も上下すら分からない中での独立でしたが、妻がつけてくれた屋号「KIARO」(明るい、光などの意味を持つイタリア語キアロが由来)のもつ言葉の力に導かれるように、明るく楽天的に生きてきました。無鉄砲に飛び出したのにも関わらず、周囲の応援があり、先輩のアドバイスや紹介などもいただいて、今振り返ると「運」がよかっただけかもしれませんが、縁の糸がどうにかつながり、プロダクトデザインの世界で仕事を続けることができました。
フリーのプロダクトデザイナーとしての仕事は、予算や経営に至るまで考える範囲が広がり、大きな枠での総合的なデザインの世界をリアルに感じることができました。この経験が自分を一まわりも二まわりも成長させてくれたと思っています。独立して手探りながらも前進していく中で、企業プロジェクトへの参加や、商品発売に至るまでの数多くの問題解決に関わることで、自分の中でのプロダクトデザインの枠もどんどん広がっていったように思います。マーケティング、ものづくりから商品販売に至るまで、総合的なデザインを求められる時代に変わってきた今、ようやくデザイナーという自分の仕事に強い誇りを持てるようになってきました。
まわりに方に後押しされて、デザイン事務所を法人化へ
株式会社BIG FIREWORKS設立
当社は2000年創業し、2014年にBIG FIREWORKS株式会社として法人化しました。
独立をしてから出会った、思いを同じくする人との良い縁の糸が結ばれ、新たな可能性を感じるグループを作ることに至りました。デザインを愛する仲間や、ものづくりの技術者が一人でも多く輝ける、それぞれがそれぞれの輝きを放ちながら大きな調和を目指すBIG FIREWORKS株式会社を、今ここで新たなスタートラインに掲げることにしました。
近年ITの発展は凄まじく、独立した時とは全く異なる状況になってきています。設計デザイン用ソフトは3DCADを当たり前に使う時代になり、インターネット環境の整う中での開発は、低コストで格段にスピードアップがはかれるようになってきました。
そんな効率化をはかれる中でも、やはり機械まかせではなく人の手でしかできないデザインがある。感性とデザイン理論から生まれる血の通ったデザインが今こそ必要になってきており、私も大企業の枠を飛び出してこの人の手でのものづくりの可能性に挑戦することに決めました。インスタントなデザインが量産される今だからこそ、人の手での丁寧なものづくりが本当の意味で求められ、中小企業にとって新たなイノベーションを起こせる時期に来ていると思います。
大番頭と向かう第二創業へ
2023年、新たなチームとしてスタートするこれからは、プロダクトデザインの視点と問題解決力を生かし、美しいバランスと調和を感じる商品づくりに力を注いでまいりました。これからは、問題発見力を磨き先が読めない時代においても新たなプロダクトを生み出し続ける体制に変化させてきました。暮らしの中でココロがきらめくようなものづくり、そしてそんな商品を作れる人づくりに挑戦していきます。そんな、ものと人の輝きの粒が打ち上がり、大きな大輪の花火となることを思い描いて日々前進していきます。